2017年5月30日火曜日

お知らせ(2017年6月)

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     ジェンダー史学会ニューズレター       2017年6月号

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このニューズレターには、
会員の皆様からお寄せいただいたジェンダー史研究関連の催事の情報のほか、
公募や出版など、さまざまなジェンダー史研究関連の情報を掲載する予定です。
情報をお気軽にお寄せいただければ幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
情報をお持ちの方は、毎月25日までに、
genderhistorynl*gmail.com (*を@に替えてください)
までメール(テキストファイル)にてお寄せください。
とりまとめて、毎月末に会員の皆様に宛てて配信いたします。
次回の配信日は2017年6月末を予定しており、
締め切りは6月25日(日)となります。

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2017年6月号  目次

【  催事情報:6件  】

(1)総合女性史学会 近世史例会 2017年6月4日(日) 13:30~16:00
(2)イメージ&ジェンダー研究会 2017年6月研究会 2017年6月10日(土) 13:00~17:30
(3)2017年度ジェンダー史学会春のシンポジウム 2017年6月17日(土) 13:00~17:00
(4)国立歴史民俗博物館 国際研究集会 2017年7月2日(日)10:00~17:00
(5)総合女性史学会 修論報告会 2017年7月9日(日) 13:30~16:30
(6)第12回女性史国際連盟(IFRWH) 2018年8月9~12日(Call for Papers締め切り 2017年7月1日(土))

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【  催事情報:6件  】

(1)総合女性史学会 近世史例会
テーマ:「日本近世の母親像再論―母権のありかを探る」
報告者:桜井由幾氏(総合女性史学会会員)
日時:2017年6月4日(日)13:30~16:40 
会場:文京区男女平等センターB研修室
   文京区本郷4-8-3 本郷アーバンハイツ1F  https://www.bunkyo-danjo.jp/access.aspx
アクセス:都営地下鉄大江戸線・東京メトロ丸の内線 本郷3丁目駅下車徒歩5分
要旨:
「妻」「母」は、現代に至っても女性の重要な属性であるが、かつて考察したよう
に、日本近世では家父長の「妻」は「家」のナンバー2としての地位を持っている一
方、「母」という立場は制度的には保障されるものではなかった。倫理的に「孝」に
よって守られるのみであった。労働人口の減少を背景に、「女性が輝く」ための施策
として、同一労働同一賃金とか保育園の増設とか、賃金労働市場への女性のさらなる
誘導政策が喧伝されている。これらがどんな方向へいくのか関心のあるところである
が、男性システムへの女性の参入が、紆余曲折を経つつも、女性の女性性をはぎ取る
方向で進行していくのではないかという感触を持つ。そこで、改めてこの際、近世の
「母」のあり方について、もう一度見てみたいと考える。
参考文献:脇田晴子編『母性を問う 下』人文書院、1985年
     長野ひろ子・菅野則子・桜井由幾編『ジェンダーで読み解く江戸時代』三省堂、2001年
お問い合わせ:jimukyokusogojoseishi.com 総合女性史学会事務局 *を@に替えてください)


(2)イメージ&ジェンダー研究会 2017年6月研究会 
日時:2017年6月10日(土) 13:00~17:30
会場:上智大学(四ツ谷キャンパス)、10号館3階、301号教室
 予約不要、参加無料、非会員でもご参加いただけます。
研究会: 13:00~17:30
研究報告: 
1、中嶋 泉(首都大学東京教員)
1950年代に女が描くこと―フェミニズム美術史の視座から
コメンテーター 小勝 禮子 (近現代美術研究、元栃木県立美術館学芸員)
2、高橋律子 (金沢21世紀美術館学芸員)
現代美術における「縫う」という行為をめぐって―金沢21世紀美術館「ぬう」展を中心に
コメンテーター 吉良智子(東洋英和女学院大学他非常勤講師)
 また、研究会後、懇親会をひらく予定です。別途ご案内を差し上げますので、どうぞご予定ください。
会場案内:上智大学は、四ツ谷駅から徒歩5分。
     会場は、10号館3階、301号教室です。図書館前にある6階建ての白いコンクリートの建物です。
     http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/accessguide/access_yotsuya
お問い合わせ:imagegenderyahoo.co.jp *を@に替えてください)
企画担当:村井則子・小勝禮子
イメージ&ジェンダー研究会 http://imgandgen.exblog.jp/


発表要旨:
中嶋 泉1950年代に女が描くことフェミニズム美術史の視座から」
 本発表では、第二次世界大戦後1950年代前半より前衛美術運動に参加した女性について、福島秀子、草間彌生、田中敦子を例に、戦後の女性画家たちの状況をフェミニズム美術史的な視座からいかに位置付けられるかを考察する。
 男女平等が法制化された戦後、文化業界で注目される女性は「才女」と呼ばれ、ブームを引き起こした。だが「才女」の活動は、50年代に女性の多数派となりつつあった主婦層から分断された、一部のエリート女性の境遇として女性運動史上の意義を見出しにくい。そのいっぽうで、あいかわらず男性をリーダーとした前衛美術運動のなかで、女性画家たちは注目を浴びつつも未だに周囲の期待と折り合いをつけながら、あるいは反抗しながら制作し、自身の作品の意味を考える必要があった。たとえば、戦後の前衛美術と呼ばれる運動体には、吉原治良、瀧口修造、阿部展也ら男性指導者と戦後世代の女性画家の間に「父娘」的関係がしばしばみられたが、彼女たちの活動はその枠組みと内と外で行き来をしているように見える。発表では、彼女たちの当時の制作・発表環境、組織内の政治性、批評言説のジェンダー的特徴を分析し、「才女」と呼ばれた女性画家たちの活動の、フェミニズム美術史的位置付けを目指す。

高橋律子「現代美術における「縫う」という行為をめぐって―金沢21世紀美術館「ぬう」展を中心に」
 コンセプトが重視される現代美術において、女性の手仕事とされる「手芸」を制作手法とすること自体が「ジェンダー」に対する意味を持ち、多くのアーティストたちが意識的に「手芸」を選択してきた。しかし、ここ数年、「日常」が重要なテーマになるに従い、女性の生活の極めて近いところにある「手芸」を肯定的な表現として手がける作家が増えてきた。家族のためというエクスキューズが時にありながらも、それがかえって女性の創作行為としての居場所も作り、無心に縫い進めることの瞑想的な心地よさがあることに女性たちは確実に気づき始めている。近年の手作りブームにもそうした気分が充満しており、ゆるく過剰な幸福感でむんむんしている。
 もはや、アートとアートでないものの境目を論じる意味は失われつつあるが、美術館という分別機能を持つ立場に身を置く者として意識するのは、表現せざるをえない行為か否か、である。無心に縫い続けてしまった結果、完成したものには作家自身が多分に投影されている。これまで美術史では無視されてきた「手芸」という技法は、身体的な感覚が極めて重要な表現行為として立ち上がってきているのではないだろうか。
 2015年に金沢21世紀美術館のコレクション展として開催した「Nous ぬう」展は、そうしたある意味新しい表現行為を問うてみたいと考え、企画した展覧会である。日本語の「縫う」に、音の近いフランス語の「わたしたち」を意味する「Nous」(ヌゥ)を充て、「女性たち」の存在をそこに込めた。この展覧会を象徴する作家として招聘したのが沖潤子である。何かを描こうとするのではなく、内在する感情の起伏そのまま「縫う」行為を集積していくことで表現していく沖の作品は、見る者の感情をえぐる。他、「ぬう」展に出品した鴻池朋子、モンデンエミコなど、自分自身と「縫う」行為を重ね表現する作家を取りあげ、現代美術における「縫う」ことのあり方、「手芸」的手法の位置について検証したい。


(3)2017年度ジェンダー史学会春のシンポジウム
テーマ:近代東アジアのキリスト教とジェンダー
日時: 2017年 6月17日(土) 13:00(受付開始12:30)~17:00(入場無料)
場所:フェリス女学院大学緑園キャンパス2号館2403教室
   〒245-8650 横浜市泉区緑園4-5-3
    横浜駅から相鉄いずみ野線「緑園都市駅」下車・徒歩3分
     JR横須賀線「東戸塚駅」で神奈中バス(緑園都市駅行)に乗り「フェリス女学院」下車・徒歩1分
   http://www.ferris.ac.jp/access/
司会:井上和枝(鹿児島国際大学)・江上幸子(フェリス女学院大学) 
第1部 報告
 報告1  小檜山ルイ(東京女子大学)
 「アメリカにおける「共和国の母」から日本の官製良妻賢母へ」
 報告2  佐々木一惠(法政大学)
 「「新しい女」をめぐるポリティクス:アメリカ人女性宣教師と民国期中国におけるジェンダーの再編」
 報告3  朴宣美(筑波大学)
 「朝鮮に渡った帝国のエージェントたち:アメリカ婦人宣教師と日本人女教師を中心に」
第2部 討論
 コメント1 田中智子(京都大学)  
 コメント2 渡辺祐子(明治学院大学)
質疑応答 
17:30-18:30 茶話会(参加費1,000円)  
問合せ先:ジェンダー史学会春シンポジウム2017 genderhistory2017symposiumyahoo.co.jp *を@に替えてください)
主催:ジェンダー史学会 http://ghaj.jp/  
   大学生協学会支援センター内 ジェンダー史学会事務局 〒166-8532 杉並区和田3-30-22


(4)国立歴史民俗博物館 国際研究集会
国立歴史民俗博物館では、ジェンダー史学会の後援をいただき、下記の研究集会を開催
いたします。ジェンダー史学会ニューズレター4月号のご案内に一部変更があり、重ねてのお知らせとなり恐縮ですが、改めて、ふるってご参加くださいますようご案内申し上げます。

テーマ:「歴史展示におけるジェンダーを問う 
     How Gender is to be Represented in Historical Exhibitions?」
日時:2017年7月2日(日) 10:00~17:00
会場:国立歴史民俗博物館 ガイダンスルーム
    千葉県佐倉市城内町117(京成佐倉駅より徒歩またはバス)
アクセス:https://www.rekihaku.ac.jp/information/access.html
問合せ・申込先:genderrekihaku.ac.jp *を@に替えてください) 
        参加ご希望の方はメールにてお申し込みください(入場無料)
目的:
2016年度に開始した歴博基盤共同研究「日本列島社会の歴史とジェンダー」では、これ
までの研究を通して、博物館における研究・資料収集・展示と、来館者が展示を通して理
解する歴史像の両面で、歴史展示に表象されるジェンダーの重要性を確認してきた。本研
究集会では、このような博物館業務全般にわたるジェンダー視点導入の意義、方法、その
成果を国際的視点から検証し、「歴史叙述としての展示」へのジェンダー視点導入の実践
的方向性を探る。 
プログラム:
10:00-10:10 開催趣旨 横山百合子(歴博)
10:10-10:50 「アメリカにおけるジェンダー史研究状況と博物館展示」トノムラヒトミ(ミシガン大学)
11:00-11:40 「博物館の資料収集・展示におけるジェンダー:台湾での経験から」黄貞燕
(國立臺北藝術大學)
12:50-13:50 「統合の歴史―シンガポール国立博物館におけるケース・スタディ―」 コー・リン・リー(シンガポール国立博物館)            
14:00-14:40 「日本の博物館におけるジェンダー表現の課題と展望―歴博の考古学展
示に触れつつ―」松本直子(岡山大学)
15:00-15:10 コメント1 長志珠絵(神戸大学)
15:10-15:20 コメント2 三上喜孝(歴博)
15:20-16:50 総合討論 報告者4名、コメンテータ2名、藤尾慎一郎(歴博)
16:50-17:00 総括 久留島典子(東京大学)
 ※使用言語:日本語、一部英語(逐次通訳)
主催:大学共同利用機関法人人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館
https://www.rekihaku.ac.jp/    
http://rekihaku-gender.sblo.jp/   
共催:日本学術会議史学委員会歴史学とジェンダーに関する分科会
後援:ジェンダー史学会、総合女性史学会


(5)総合女性史学会 修論報告会
テーマ:「中世地方林下寺院の尼と地域社会――加賀・能登を中心に――」
報告者:小西洋子(金沢大学大学院人間社会環境研究科 後期博士課程)
日時:2017年7月9日(日) 13:30~16:30
会場:文京区男女平等センターD会議室
   文京区本郷4-8-3 本郷アーバンハイツ1F  https://www.bunkyo-danjo.jp/access.aspx
アクセス:都営地下鉄大江戸線・東京メトロ丸の内線 本郷3丁目駅下車徒歩5分
参考文献:
浅香年木「加賀長福寺の成立事情」(『中世北陸の社会と信仰』法政大学出版局、1988年。初出は「村堂と林下―加賀長福寺の成立をめぐって」『仏教史学』14巻4号、1969年11月)
高橋秀樹『日本中世の家と親族』(吉川弘文館、1996年)
小西洋子「能登永光寺の尼と中世在地社会」(女性史総合研究会女性史学編集委員会『女性史学』26号、2016年)
お問い合わせ:jimukyokusogojoseishi.com 総合女性史学会事務局 *を@に替えてください)


(6)第12回女性史国際連盟(IFRWH) 
IFRWHの大会場所がカリフォルニアからカナダのバンクーバーに変更になりました。
日程は2018年8月9~12日、Call for Papers締め切りは2017年7月1日(土)に延長となりました。
詳細は以下のサイトをご覧ください。
http://ifrwh.com.websitebuilder.prositehosting.co.uk


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会員からの催し物・募集等のお知らせについては、当学会は責任を負いません。
また、お問い合わせも当学会主催による催し物・募集等以外については、
各主催者に直接お問い合わせいただけますよう、お願い申し上げます。
                        ジェンダー史学会事務局