2019年3月20日水曜日

お知らせ(2019年3月号)

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 ジェンダ学会ニューズレター     2019年3月号

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このニューズレターには、
会員の皆様からお寄せいただいたジェンダ研究関連の情報
(催事・公募・会員の新刊)を掲載する予定です。
情報をお気軽にお寄せいただければ幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
情報をお持ちの方は、毎月25日までに、
genderhistorynl★gmail.com (★→@に変更)
までメール(テキストファイル)にてお寄せください。
とりまとめて、毎月末に会員の皆様に宛てて配信いたします。
(いただいた情報についてはこちらで編集させていただく可能性があります)
次回の配信日は2019年3月末を予定しており、
締め切りは3月25日(月)となります。

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2019年3月号  目次

【  催事情報: 4件  】
(1)関西ジェンダカフェ 第5回研究会「社会学と歴学の対話の試み―見えないものに迫るために―」
(2)「アジアのリプロダクションは今-生殖補助医療とジェンダー」シンポジウム
(3)総合女性学会2018年度大会シンポジウム「ケガレ観の的形成とジェンダー」
(4)立教大学共生社会研究センター主催 公開セミナー 「障害女性の子宮摘出手術はどう語られてきたのか―1960年代と1980年代を中心に―」

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【  催事情報: 4件  】

(1)関西ジェンダカフェ 第5回研究会のご案内
テーマ:社会学と歴学の対話の試み―見えないものに迫るために
報告者:石井香江氏(ジェンダ研究者)
日時:2019年3月2日(土) 14:00-17:00
場所:立命館大学衣笠キャンパス至徳館3F 会議室
概要:電話交換手が「女の仕事」であった事実についてはよく知られているが、その理由や経緯について、必ずしも説得的な説明がなされてきたわけではない。これは男女の能力、身体的特性、職業選択などの「違い」に根ざすものなのだろうか。石井香江著『電話交換手はなぜ「女の仕事」になったのか』は、文献・聞き取り調査を踏まえ、本質主義的に男女の「違い」を前提にするのではなく、「違い」が制度・実践・言説によって下支えされるプロセスに注目している。さらに、ドイツと日本の事例に注目する比較社会の方法で、一国的な枠組みでは見えてこない観点を探り当てている。今回は、本書をまとめる上での困難や試行錯誤を振り返り、社会学と歴学の対話の可能性について考えてみたい。

報告者紹介:石井 香江(ジェンダ研究者)
 1972年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。現在、同志社大学グローバル地域文化学部教員。関心を持つ研究テーマは性別分業のメカニズムとその変容のプロセスその他。著書に『電話交換手はなぜ「女の仕事」になったのか―技術とジェンダーの日独比較社会―』(ミネルヴァ書房、2018)、共著に『ベルリンのモダンガール―1920年代を駆け抜けた女たち―』(三修社、2004)等がある。

(2)「アジアのリプロダクションは今-生殖補助医療とジェンダー」シンポジウム
日時:2019年3月23日(土)13:30~17:00
場所:日本大学文理学部本館二階会議室A
【報告】
日比野由利(金沢大学医学部助教)「アジアの生殖補助医療-生殖医療ツーリズムの拡大から廃止、法制度化へ」
姚 毅(日本大学講師)「生殖補助医療をめぐる法規制の現状と諸問題―中国と台湾を中心に」
【コメント】
仙波由加里(お茶の水女子大学ジェンダー研究所・特任リサーチフェロー)「欧米との比較から」
【討論】
・参加ご希望の方は、kohama1125★hotmail.co.jp (★→@に変更)まで事前にご連絡下さい。
(主催: 科研基盤(B)「東アジアにおける家族とセクシャリティの変容に関する比較的研究」研究代表者:日本大学文理学部・小浜正子)

(3)総合女性学会2018年度大会シンポジウム
総合女性学会 2018年度大会のお知らせ
<日 時>    2019年3月24日(日)  9 :50~17:30
<会 場>    昭和女子大学 7号館6S03 
<テーマ> 「ケガレ観の歴的形成とジェンダー」
<スケジュール>
   10:55~11:00 趣旨説明(長島淳子代表)
 11:00~12:00 片岡耕平氏「日本古代・中世における「女性の穢」」
 13:00~14:00 今西一氏 「大相撲と女性の「ケガレ」」
   14:10~15:10 池川玲子氏「高校野球と女子―禁制と解禁をめぐる百年
 15:10~15:25 米田佐代子氏(コメント)
 15:45~17:10 質疑・討論
 17:30~19:30  懇親会

<報告要旨>
◆古代・中世 片岡 耕平氏「日本古代・中世における「女性の穢」」
本報告の目的は、出産や月経といった女性特有の生理現象を不浄視する「女性の穢」観が成立する過程を明らかにすることである。この観念が、歴的所産であることを示したいと思う。成立の過程を辿るに際して、1) 9世紀以前、2)9世紀前半以降、3) 12世紀以降、という3つの時期区分を設定する。1)は、料上で「穢」と表記される多様な概念が存在するものの「女性の穢」は不在であった時期、2)は、その多様な概念の一部が、出産・月経などを不浄とする観念へと転化する時期に当たる。1)から2)への展開をもって「女性の穢」観の成立とする立場は、少なくとも歴学研究者の間では一般的である。報告では、この通説の見直しの必要を提起する。すなわち、2)で成立する観念が、「女性の穢」と呼ぶに相応しいものではないこと、むしろ3)こそが、その成立時期であったことを論証したいと考えている。
〈参考文献〉
西山良平「王朝都市と《女性の穢れ》」(女性総合研究会編『日本女生活1 原始・古代』東京大学出版会、1990年)
脇田晴子「性別役割分担と女性観」(同『日本中世女性の研究 性別役割分担と母性・家政・性愛』東京大学出版会、1992年)
服藤早苗「斎宮の忌詞と女性穢観の成立」(後藤祥子編『平安文学と隣接諸学6 王朝文学と斎宮・斎院』竹林舎、2009年)

◆近世・近代 今西 一氏 「大相撲と女性の「ケガレ」」
昨今の異常な女性差別は、「市民社会」の底に沈んでいた憎悪や差別が、一度に吹き出しているように見える。
報告のテーマである大相撲での「神聖」な土俵に女性をあげないとして、緊急の看護師の医療行為やわんぱく相撲の子どもまでも排除したことから、大相撲の体質―暴力性、男尊女卑などが白日の下にさらされるようになった。特にここ数年、ジャーナリスト伊藤詩織へのレイプ事件、財務省トップのセクハラ事件、杉田議員のLGBT攻撃とそれに追随する自民党議員の発言、医学部の女性、浪人差別など、日本社会の根底にあったヘドロが表
面化してきている。
 本報告では、60年代、横井清、高取正男らが提起し、黒田俊男、網野善彦、大山喬平らによって体系化された「ケガレ」論が、近世では塚本明らによって発展させられながら、近代ではまともに議論されていないことに、まず疑問を呈したい。近代は、民俗学の膨大な業績があるが、なぜか民俗学と部落研究には断絶があり、博識の宮田登でさえ十分に踏み込むことはなかった。大相撲や女相撲などを具体的な素材に使いつつ、近代に「ケガレ」論を導入する必要性を考えてみたい。
〈参考文献〉
今西一『文明開化と差別』(吉川弘文館、2017年)
今西一『近代日本の差別と性文化』(雄山閣、2004年)
今西一『近代日本の差別と村落』(雄山閣、1993年)

 ◆現代 池川 玲子氏「高校野球と女子―禁制と解禁をめぐる百年
「甲子園」の名で呼ばれる高校硬式野球部全国大会。その百年、コーラスガール、女子マネ、チアリーダーなど、男子選手のためにさまざまな役割を担う女子を選択的に導入してきた歴でもある。また、この大会には女子の部が存在しない。女子選手の出場も認められない。すなわち「甲子園」とは、男女を「戦う性/支える性」に二分し、さらに女性を「母性/エロティックな性」に分断する近代国家の統治システムのみごとな縮図と
なっている。さらに、女子を締め出しているグラウンドは、大会関連文書においてしばしば、「純真なプレーの場」と表現される。「甲子園」は、中心=清浄、周縁=不浄という二項対立によって創出・維持されるケガレのシステムと共通する構造を有している可能性がある。
本報告では、以上のポイントに留意しつつ、高校野球における女子の「禁制と解禁」を通じて、若年層でジェンダーが再生産されるメカニズムについて検討する。
〈参考文献〉
池川玲子「甲子園のパンチラ――女子応援団の衣服から見る高校野球の歴」(武田佐知子編『着衣する身体と女性の周縁化』(思文閣出版、2012年)
江刺正吾『女性スポーツの社会学』(不昧堂出版、1992年)
中村哲也『学生野球憲章とはなにか――自治から見る日本野球(青弓社、2010年)

[参加申し込み等](〆切 3月12日)
下記の要領で、総会・大会・懇親会の出欠をお知らせ下さい。
・メール jimukyoku★sogojoseishi.com (★→@に変更)
            (件名に「大会申し込み」と明記)
・はがき 〒154-8533 世田谷区太子堂 1-17-57 
         昭和女子大学総合教育センター 友野清文宛

・お名前(フリガナ)
・ご住所
・電話・ファックス番号
・総会(出席・欠席)
・大会(参加・不参加)
・懇親会(参加・不参加)

・ 参加費
会員・一般 1000円 学生・院生  500円
・懇親会費
会員・一般 3500円 学生・院生 2000円
・昼食は各自でご用意下さい。

[アクセス]https://office.swu.ac.jp/campusmap/
     地下鉄  東急田園都市線(半蔵門線直通)「三軒茶屋」駅下車、徒歩7分。
     バ ス  ・渋谷駅から下記方面行きを利用し「昭和女子大」下車。
          (上町・等々力・田園調布・二子玉川・成城学園など)
            ・目黒駅・祐天寺駅から三軒茶屋行きを利用し「三軒茶屋」下車。
            ・下北沢駅から駒沢陸橋行きを利用し「三軒茶屋」下車。

(4)立教大学共生社会研究センター主催 公開セミナー
「障害女性の子宮摘出手術はどう語られてきたのか ―1960年代と1980年代を中心に―」
日時:2019年3月24日(日) 14:00~17:00(13:30開場)
場所:立教大学池袋キャンパス 5号館第1・2会議室
報告者:鈴木雅子「1960年代の当事者、親、関係者が語る子宮摘出手術」
             瀬山紀子「捉え返し、問い直す語り 80年代の障害女性たちの語りから」
申込みについて:事前申込み不要、入場無料
問合せ先:立教大学共生社会研究センター(03-3985-4457)

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会員からの催し物・募集等のお知らせについては、当学会は責任を負いません。
また、お問い合わせも当学会主催による催し物・募集等以外については、
各主催者に直接お問い合わせいただけますよう、お願い申し上げます。
                        ジェンダ学会事務局

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